子どもに嫌い!って言われてショックを受けていた保育士若かりし頃を思い出します(今でも十分若いですがー)。
その時は、ガーン!ってなったり、「なんでそういうこと言うの!」なんて思ってましたが、その言葉の奥にある「理由」をその当時は観ていなかったんだと思います。

森のようちえんで、冬の雨で、寒い日に外に出て、泣く子がいます。
そりゃそうだ(笑)寒くて、体が冷えてるから「助けてくれー!」って泣くんです。でも、そのこと自体は、野外では大事な時間だと考えています。
冬が寒いのは当たり前。昨今は、家をクーラーや暖房で暖かくして、厚着もして車や電車に乗って、建物を内通路の中を歩いて買い物やお出かけ。って、寒さを体が感じる場面が少ないと思います。
だからって「1日中冬の雨を感じるんだ!泣いても笑ってもこれが冬だ!」なんて熱血高校教師的なことは言いません(笑)
でもね、冬の雨に当たって夏とは違うかじかむ感じとか、冬の風が頬をひんやりさせて、沢の水は凍りつくほど冷たいとか。
その体で、五感で感じることって大事だと思います。1日30分でも、1時間でも野外で、その体で感じたことって、その子の細胞がしっかり記憶しています。その日々の小さな積み重ねが、子どもの体の土台になって健康な体や、大きな怪我をしない体づくり、季節や命を感じることができる心に育ってゆくんだと思います。
(↓真冬の沢にて)

ある日の根っこ組(親子クラス)、冬の雨が厳しくて散歩に出掛けたは良いけど、途中から泣いている子どもが居ました。少しお散歩のあと暖かい室内に入る時間になっても、「帰るー!!」って泣いています。
その時のその子の言葉の奥にある「理由」って、なんだろう。って考えるんです。
「眠いのかな?」「お腹空いてるのかな?」「疲れているのかな?」「寒いのかな?」
どれか一つではないかもしれませんが、でも兎に角「帰る!」の一点張りにお母さんはお困りの様子。
そりゃそうです。泣いている我が子を見ていると心がきゅーってなりますから。
そういう時、親は寄り添いたくなるし言葉通りにしてあげたくなりますよね。
そんな時だからこそ、そんなお母さんの気持ちも少しは分かる大人(この場だと保育者の私たち)が、その上で子どもの言葉の奥を観て関わることで、その先の子どもの姿って変わるんだと改めて感じました。
その時、その場の保育者は子どもの言葉の奥には「心地悪いよー」を感じていました。そして、その心地悪いは冷えからくるものかなと考えていました。
「帰るー!!」は、「寒いー!!助けてー!」だったんだと思います。だから、うんうんって言ってそのまま家に帰ってもらう事ももちろん出来たんだけど、部屋の奥に、その時間の先に楽しいこと・美味しいことが待ってるのを知ってる私たちは誘っちゃうわけです。
「帰りたいのー?そうかー、あったまってからでも遅くはないよ♫」ってね。
子どもの言葉や行動をそのまま受け止めることも大事ですが、一歩引いて理由(心の動き)を観ることも同時に大事にしたいなって思います。
結局、この日「帰るー!!」の子は、楽しそうな室内遊びをしている子達を見たり、「中暖かいよー」っていう言葉掛けとか、お母さんでない大人(保育者)に抱っこされて、暖かい部屋で気持ちと体を温めたら、ニコニコと遊び始めたり、ご飯を食べ始めてくれました。
その子の言葉(姿)の奥を観ること。理由は何だろう?って、今、何を感じているの?ってその子の心を見つめるって、大事だなって改めて思いました。

そして、どんな園でも施設でも、子育て広場でも、学校でも。そうやってお母さんお父さん以外に、その子のことを、その子の姿や言葉の奥にある「心」を観てくれる大人がいるって、その子にとっても、その子の親にとっても安心できる幸せな場所なんじゃないかなって思います。
そして、そんな大人がいる場所に出会えた子どもは、自分らしく個性輝いて育ってゆけると思います。だからね、「ここだー!」って思った園や場所に出会ったら、色んな理由があるとは思うけど、その直感を信じて飛び込んでみるといいと思います!
森のようちえん芽も、そんな誰かの「ここだー!」って幸せな居場所になれていたら、幸いですし、愛ある園を目指してこれからも日々子どもたちと共に学び育ちあってゆきたいと思います。
トト
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