人は、お腹にいる時からお母さんの胎内で動き回っています
お腹を蹴ったり、グルグル回って、所謂逆子になってみたり
出産の時も頭をグリグリ動かしながら、お母さんの産道をお母さんの動きと合わせて生まれてきます。
その後も乳児期に、寝返りやずり這い、ハイハイやつかまり立ち、そして1歩2歩と歩き始めます。歩くまでの過程は、特に大事だと言われていて、何度も転び、自らの力で起き上がるを繰り返すことで、体の使い方をその体が覚えてゆきます。
大人が先回りをして
「指先はね、こうやって動かすとこうなるから、ここの指こうして登るんだよ」
とか
「転んだ時は、こうして受け身を取ると怪我をしないよ」とか言いません(笑)

そのちいさな体は、凸凹や斜面を登ったり降りたりすることでその体、特に背骨(脊髄)の部分が、色んな動きや振動を与えられることで人間本来の体の動きを体得し形を整えてゆきます。脊髄は、脳と体を繋ぐ大事な部分です。その柱となる部分が、しっかりと育つことで他の末端部分(細部)も育ってゆきます。以下の丸太渡も体のバランス感覚(脊髄)を育てることに繋がります。もちろん本人たちは、そんなこと微塵も考えていませんし、「この丸太渡をすると、背骨がね!」なんて言いません(笑)

子どもたちは、木登りも大好きです。
しかし、よく木下で聞く「抱っこして登らせて〜」というやりとり
抱っこして、あげるのは簡単ですが、森のようちえんではそれよりも自ら登るように促します。自分の力で登れない木は、降りることも出来ません。それは、その木を登る為の自分の体の使い方を知らずに、その木の上にいるということです。力量を知らずに、高い場所や何かにチャレンジすることの怖さ。例えば、大人が自分の力量を知らずに
「あの濁流楽しそうだから、ラフティングする!とりあえず、ボードに乗せてくれる?」
と言っているようなものです。

この木は登れる、あの木はまだ登れない等、体感的に知っているということはとても大事なことです。又、どうしたら登れる?という考える力やトライ&エラーの場でもあります。その時に、体の動きや指先の動きが鍛えられ、脳が刺激され、体が育ってゆくのです。
そして、その木の上から見た景色は、忘れられないその子の心の色となって、子どもの時代の景色を作ってゆくはずです。

体を動かすことは、自分の体を使いこなす為の時間です。特に乳児期〜小学校1年生くらいまでに沢山体を動かせるような生活環境が大事です。それは、運動場や体育館でもできるかもしれません。しかし、私たちはそこをやはり「自然」の中で、整えたいと思っています。
木の根っこが張り巡らされた凸凹道
落ち葉が沢山敷き詰められた斜面
なだらかな沢、流れの早い川
足を取られてしまうくらいネチョネチョの田んぼ
何度も腰を上げ下げして、行う畑仕事
野原で思いっきり風を切って走る
てんとう虫を捕まえるときの慎重に掴む指
同じ形や場所や動きがない分、体も多様な動きを求められます。そんな豊かな環境で育った子どもたちの体は、大人になった時にその子を支える柱となり、その子を支えてくれることでしょう。

トト
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